スープ事業は「アホな仕事」と呼ばれていた。

ガッチャーーンッ!!!

「おーう、ちゃんと仕事してるか!?」
いつものようにノックもせず豪快に私の部屋を開け放ったのは本間だった。

「どうしたんですか?またヒマしてるんですか?笑」

「バカヤロウ!俺は忙しいんだよ。」
「ちょっと通りかかったから様子見にきただけだ。」

(相当ヒマだったんだな...。)
私のデスクは会社の一番奥にあった。
そのためここ2年間で本間がこんな遠くまで訪れてる姿を私は一度も見ていない。
ここ1ヶ月を除いては...。
私がクックピットの取締役に就いてしちょうど2年が経った今。
私は初めて自分の部屋とデスクを貰っていた。
今までは私だけデスクが存在しなかったので、いつも社長室の会議机で仕事をしていた。
そのため四六時中本間と向き合わせており、そのおかげでバカ話からちょっとしたアイデア話まで幅広くコミュニケーションを経営陣で話し合うことが出来ていた。
しかし、自分の机がないのは非常に不便である。パソコンはノートPCでこなせてしまうが資料の置き場から消耗品のストックまで手元にないのには困っていた。
春先の大掃除でスペースが空いたこともあり、私は2年目にしてようやく自分のデスクを持つことが出来たのだ。
しかし、その場所は社長室から一番離れた部屋。
本間は面倒くさがってこんな遠い部屋に行くことはほとんどなかったのだ。。。
が、私がこの部屋に移動してからはヒマなのだろう。ちょくちょく理由を付けては様子を見に来ていた。

「まあまあ、社長せっかくこんな遠いところにお越しになったのですから、少し話しましょう。」

「お、飲むのか!?」

「いえ、まだ仕事があるので飲みません。」
嬉しそうな本間の話をいなしながら私は続ける。

「社長はどうして、スープ事業を始めようと思ったんですか?」
本間は18店舗にもなるラーメン店を展開していたが、株主との方向性の違いにより事業を譲渡。その後クックピットを創り、現在のスープ事業を展開していた。
→※この細かいエピソードはSTORYをご覧ください。

「当時の俺に残ってるのはこれしかなかったんだよ。」

「でも飲食経営するとか、もう一度ラーメン店立ち上げるとかの方法もあったんじゃないですか?」

「まあそうなんだけど、いきなり辞める俺にも数人の部下が付いてきてくれたんだ。」
「彼らを食わせていくには店舗事業だけだと苦しかったんだよ。」

「そうだったんですね・・」

「でも周りには散々止められたよ。この事業はアホだってね。」

「え、そうなんですか!?」
創業当時にこんなエピソードがあったとは驚きであった。

「俺は世界で初めてストレートスープを事業展開したんだ。」
「今では当たり前になったこの言葉もうちが最初に作った言葉なんだ。」

「でもそれは、新しい事業だったからバカにされたんじゃないですか?最初のパイオニア事業はいつも叩かれる運命にありますからね。」

「うーん、多分みんな親切心で言ってくれてたな。」
「水を運ぶようなアホなことは止めろって。」

「水を運ぶ・・・?」

「この当時のラーメンスープは、粉や液体加工してお湯で割って調味料スープとして作るのが主流だったんだ。」
「言ってしまえば、インスタントラーメンのスープと同じってことだな!」

「つまり化学的に作ったスープということですね。」

「そうだ!板前上がりの俺にはそれが耐えられなかったんだ。」
「だからやるからには、本当に美味いものをそのまま届けてやろう!そう考えたんだ。」

「社長らしい考え方ですね!」
この職人気質の考え方に惹かれて私はこの会社の入ったのだ。

「でも、これだとインスタントスープに比べて様々なコストが掛かるということですね。」
「物流費はもちろん、冷凍倉庫費用に、物も大きくなってしまうし...」

「そうなんだよ!だから水を運ぶようなアホな事業って言われたんだな!」
「当時はよく分かってなかったけど!ガハハハ!」
そう言って本間は豪快に笑って見せた。

「でも、そのお陰で今のうちがあるんですからやって良かったですよ。」

「そうだな!でも最初はやっぱ苦労したぞー」

「そうですよね。軌道に乗るまでどれくらい掛かりましたか?」

「6ヶ月以上掛かった!
1ヶ月目は売上0円!2ヶ月目はヤバイと思って冷凍庫を売却したからそれで70万円!
スープが売れるようになってきたのは、半年以上経ってからだったな。」

「そんな苦労時代があったんですね...。」
「じゃあ営業も経理も1人でやってたんですね。」

「人が雇えなかったからねぇ..。経理も指一本でキーボードいじってたよ。」

「ちゃんと仕事してたんですね。今では考えられない。。。」

「そうそう!やれば出来るんだよ!」
「・・・ん?今余計なこと言わなかった!?」
本間の言葉を他所に私は続けた。

「一番最初に嬉しかったこと覚えてます?」

「そうだなー。やっぱ最初苦労した分、初めて月商500万を超えた時は嬉しかったなぁ。」

「そうだったんですねぇ」

「そうなんだよー..。・・・ちょっと俺トイレ行ってくる!」

「はーい」
そう言って時計を見ると17時を過ぎていた。
しまった、ついつい話し込んでしまった。

「いや〜、盛り上がってきたね〜!」
そう言いながら帰ってきた本間の両手には缶ビールが抱えられていた。
ここから先はいつもの酔っぱらいの日常である。
こんなメンバーですが、スープは一級品!
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