尾道ラーメンとは？特徴・有名店・作り方を初心者にもわかりやすく解説
minezaki
尾道ラーメン完全ガイド｜特徴・歴史・作り方・人気店徹底解説
はじめに
尾道ラーメン——広島県尾道市を発祥とし、瀬戸内海の穏やかな港町から全国へ広まった、“魚介×鶏ガラ×背脂”の絶妙トリプルスープが魅力のご当地ラーメンです。
最大の特徴は、あっさりした醤油スープに浮かぶ豚の背脂ミンチ。
この背脂がこってり感をプラスしつつ、魚介の香りと鶏ガラの旨味が絶妙なバランスで混ざり合い、重すぎず、でもしっかり旨いという“和風こってり”な一杯を完成させています。
麺は平打ちの中細ストレート。スープとの絡みがよく、口当たりもなめらか。
トッピングはチャーシュー・メンマ・青ネギといったオーソドックスな構成が多く、背脂によるパンチの中に、どこか懐かしさを感じる醤油ラーメンとしても人気です。
1990年代以降、地元の有名店「朱華園（しゅかえん）」の知名度とともに尾道ラーメンは広がり、今では広島県全域はもちろん、関東・関西にも専門店が出店するほどの知名度を誇ります。
また、袋麺や冷凍麺としての商品展開も活発で、“家庭で食べるご当地ラーメン”としても人気の高いジャンルです。
本記事では、尾道ラーメンの発祥や味の秘密、スープや麺、開業時の注意点、有名店紹介、再現レシピや業務用スープの活用方法まで、飲食店経営者やラーメンファンの視点から徹底解説します。
目次
尾道ラーメンの歴史
尾道ラーメンの原型は、戦後間もない昭和20年代に地元の食堂で提供されていた中華そばにさかのぼります。
魚介と鶏ガラをベースにした醤油スープに、当時は珍しかった**「豚の背脂ミンチ」**を加えるスタイルが定着し、これが尾道ラーメンの大きな特徴となりました。
地元の人気店「朱華園（しゅかえん）」の成功によって全国的な注目を集め、1990年代には尾道ラーメンという名が定着。
現在では、広島県内はもちろん、他府県にも専門店が多数展開し、“和風こってり”ラーメンの代表格として地位を築いています。
3つの歴史的ポイント
- 発祥は昭和20年代の中華そば文化から
- 豚の背脂ミンチを加える独自スタイルが定着
- 朱華園の影響で1990年代から全国的に広まった
尾道ラーメンとは？
尾道ラーメンの最大の特徴は、魚介×鶏ガラベースのあっさり醤油スープに、豚の背脂ミンチを浮かべる独特なスタイルにあります。
背脂の甘みと香ばしさがスープにコクを加えながらも、魚介ダシの風味が全体を引き締め、重くなりすぎず、**“飲み干せるこってり感”**を実現しています。
また、平打ちの中細ストレート麺との相性もよく、しなやかなのど越しとスープの絡みが絶妙。
トッピングはシンプルで、ラーメンとしての完成度の高さと、どこか懐かしさを感じさせる味わいが人気の理由です。
3つの特徴ポイント
- 魚介×鶏ガラ×背脂の三位一体スープが特徴
- 背脂ミンチがコクと香ばしさを加える独自スタイル
- 平打ち中細麺との絡みであっさり＆深い味わいを実現
尾道ラーメンに合う食材
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尾道ラーメンのスープの秘密
尾道ラーメンのスープは、瀬戸内の小魚や煮干しなどの魚介ダシと、鶏ガラをベースにした澄んだ醤油スープが基本です。
この和風のあっさりスープに、**豚の背脂ミンチ（通称：背脂チャッチャ）**を加えることで、まろやかさと深いコクがプラスされます。
背脂は粗挽き状に炒めたものが多く、口当たりは軽やかで、脂っこさを感じにくいのが特徴。
仕上げには濃口醤油を効かせ、キレのある味わいと甘みのバランスが絶妙なスープに仕上がります。
尾道スープのポイント
- 魚介＋鶏ガラのWスープがベース
- 粗挽きの背脂ミンチが香りと甘みを加える
- 濃口醤油ダレでキレとコクのバランスを調整
尾道ラーメンの麺の特徴
尾道ラーメンに使われるのは、中細の平打ちストレート麺。一般的な中華麺よりもやや幅広で、スープとの絡みがよく、モチモチした食感とつるりとした喉越しが特徴です。
この麺は、繊細な魚介系スープと香ばしい背脂の旨味をバランスよく持ち上げる設計になっており、一口ごとにスープの香りとコクがしっかりと感じられます。
また、やや硬めの茹で加減で提供されることが多く、スープに馴染みつつもコシを保つ点も魅力です。
製麺所ごとの違いもあり、地元では「尾道麺」専門の製麺所も存在します。
麺のポイント
- 平打ち中細ストレート麺が定番
- スープとの絡みと喉越しを両立した設計
- 硬め仕上げで背脂や魚介の風味をしっかり拾う
尾道ラーメンのトッピング特徴
尾道ラーメンのトッピングは非常にシンプルで、チャーシュー・青ネギ・メンマが基本。
このベーシックな構成に、スープ表面に浮かぶ豚の背脂ミンチが個性を加え、味と見た目のアクセントになります。
チャーシューは薄切りの肩ロースやバラ肉が中心で、醤油ダレでしっかりと味付けされており、スープとの相性も抜群。
豪華な具材を使わずとも、背脂の存在感とスープの奥深さで満足感が得られるのが尾道スタイル。
あえてシンプルに仕上げることで、ラーメンそのものの完成度が際立ちます。
トッピングのポイント
- 基本はチャーシュー・メンマ・青ネギのシンプル構成
- 背脂ミンチが最大の個性と味の厚みを演出
- 薄切りチャーシューでスープとの一体感を強調
尾道ラーメンで開業のポイント
尾道ラーメンは、他のご当地ラーメンと比べて食べやすく、幅広い年齢層に受け入れられる点が大きな魅力です。
和風ベースの醤油味に背脂ミンチのコクを加えるという、“あっさりだけど物足りなくない”絶妙なバランスは、都市部のランチ層から地方のファミリー層までターゲットにできます。
また、魚介×鶏ガラスープや背脂ミンチは業務用食材で安定して再現可能なため、オペレーションの難易度が低く、開業初心者にもおすすめです。
既存の醤油ラーメンとの差別化を図りたい方にとって、尾道スタイルは強力な武器になります。
開業のメリット
- あっさり＋背脂の絶妙バランスで老若男女に人気
- 業務用食材で再現しやすく、仕込みの負担が少ない
- “ご当地ラーメン”としてのブランド力と差別化効果
開業のコツ（3つのポイント）
- 背脂ミンチは粗挽きで焦がさず香ばしさを出す
- スープは濁らせず、魚介と醤油のキレを意識する
- メニュー名・看板に“尾道ラーメン”を明記して訴求力UP
尾道ラーメンの再現レシピ（「朱華園」風）
スープの材料
スープ①
- 水…10ℓ
- 鶏骨…3kg
- げんこつ…300g
スープ②
- 濃口醤油…5ℓ
- 背脂（ミンチ）…3kg
スープの作り方
- スープ①骨に湯通しして血抜きを行う。湯通しした後、しっかり水洗いを行う。
- 水に骨を入れて、中火で炊き、蓋をして6時間ほど炊き上げたら完成。
- スープ②は、豚の背脂をミンチにして、強火の醤油で4時間炊いたら完成。
- ＊スープ②で出来た背脂は別にとっておき、ラーメンの香味油として使用する。
かえしの材料
- 濃口醤油…500mℓ
- 日本酒…100mℓ
- うま味調味料…5g
- ニンニク（スライス）…5g
- 生姜（スライス）…5g
かえしの作り方
- すべてを混ぜ、材料を加熱したら完成。
尾道ラーメンの材料
- 鶏豚スープ…300mℓ
- かえし…35cc
- 背脂…20g
- うま味調味料…5g
- 平打ち麺…1玉
- 葱…適量
- メンマ…適量
- 豚バラスライス…適量
尾道ラーメンの作り方
- 温めた丼に、うま味調味料、かえし、背脂、鶏豚スープを入れる。
- 麺を麺線を整えながら入れる。
- トッピングを盛り付けたら完成。
業務用スープを使った簡単バージョン
「本格的に炊くのは無理」という方には、業務用スープの活用もおすすめです。
クックピットでは、家系再現にぴったりの豚骨醤油スープやカエシも取り揃えています。
簡単レシピの材料
- 鶏清湯スープ（TC4）…150㏄
- 鰯出汁…150㏄
- TB醤油ダレ…25㏄
- 大粒背油…20㏄
- ゆめのちから＃20…1玉
- 豚バラ（ネット有）…適量
簡単レシピの作り方
- 鍋に鶏清湯スープ（TC4）、鰯出汁を入れ中火で火にかける。
- 別の鍋に水を入れ、沸騰させゆめのちから＃20を入れゆでる。ゆであがったゆめのちから＃20は湯を切る。
- 温めていた器にTB醤油ダレ、大粒背油、スープ、麺を入れる
- 豚バラ（ネット有）をトッピングして完成！！
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尾道ラーメンの有名ラーメン店
尾道ラーメンはその土地の風土と食文化を反映した、素朴ながらも完成度の高いラーメンです。
ここでは、尾道ラーメンの代表的な名店を5つ厳選してご紹介します。
1位 朱華園（しゅかえん）【尾道市】（現在は「朱」で新規オープン）
尾道ラーメンの元祖と呼ばれる伝説的名店。魚介と鶏ガラの醤油スープに背脂ミンチを浮かべたスタイルを確立したパイオニア的存在。
現在は「朱」の神店としてリニューアルオープン中！昔ながらの味とスタイルは朱華園の味をそのまま受け継いでいます。
中華そば 朱（しゅう） は、広島県尾道市に2020年11月16日オープンした話題の新店で、かつて尾道ラーメンの元祖として名高かった「朱華園（しゅかえん）」の味を継承しています。創業者・朱さんの奥様と娘さんが「朱華園」の味をほぼそのまま再現し、鶏ガラベースの醤油スープに背脂チャッチャをたっぷり浮かせたスタイル。スープは見た目ほど脂っこくなく、鶏の旨味とまろやかな甘みがしっかり感じられるあっさり口当たりです。
メニュー
・中華そば 700円
・ワンタン麺 750円
・チャーシューメン 900円
店舗情報
- 店名：中華そば 朱
- 住所：広島県尾道市十四日元町6-16
- 営業：11:00 - 17:00
- 定休：木曜日 第3水曜日
※営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。
2位 東珍康（とんちんかん）【尾道市】
1980年代創業の老舗。朱華園の味を受け継ぎながらも、ややマイルドで万人向けに調整された一杯が特徴。
平打ちストレート麺と、醤油のキレと魚介の香るスープが絶妙なバランス。地元民にも観光客にも愛される王道の名店。
中華そば 東珍康（とんちんかん）（広島県尾道市）は、1973年創業の老舗で、「尾道ラーメンの元祖」と称される名店です。秘伝の醤油ベーススープは、豚骨・鶏ガラ・野菜・昆布を丁寧に煮込んだコク深いあっさり味。「水」にまでこだわって仕込まれた透明感あるスープは、背脂との相性も抜群で、つい飲み干したくなる深い余韻があります。尾道ラーメンの醍醐味を味わえる地元を代表する実力店です。
メニュー
・尾道ラーメン 600円
・油メン 630円
・チャーシューメン 850円
店舗情報
- 店名：東珍康（とんちんかん）
- 住所：広島県尾道市栗原町6023-5
- 営業：11:00 - 21:00 11:00 - 15:00
- 定休：木曜日
※営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。
3位 つたふじ【尾道市】
尾道駅近くに位置し、地元では“朱華園と双璧”と称される名店。濃いめのスープとコシの強い麺でパンチのある尾道ラーメンを提供しています。
ノスタルジックな店構えも人気で、観光客の行列が絶えません。
中華そば つたふじ（尾道市） は、尾道ラーメンを代表する老舗名店で、創業から約70年以上にわたって地元や観光客から愛され続けています。特にミシュラン広島・愛媛版ビブグルマンにも掲載された実績を持ち、その味の完成度には揺るぎない信頼があります。尾道ラーメンの原点に触れるなら、ぜひ一度訪れていただきたい地元の名店です。
メニュー
・中華そば 600円
・中華そば大盛 700円
・中華うどん 600円
店舗情報
- 店名：つたふじ
- 住所：広島県尾道市土堂2-10-17
- 営業：11:00 - 16:00
- 定休：月曜日 火曜日
※営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。
4位 壱番館【尾道市】
観光地・尾道本通り商店街に立地する人気店。背脂の量や味の濃さが絶妙に調整され、食べやすさと尾道らしさのバランスが光る一杯。
尾道ラーメン初心者にもおすすめの味わい。
中華そば 壱番館（いちばんかん）（尾道市）は、1999年創業の尾道ラーメンを代表する名店で、2020年現在、尾道を代表するラーメンブランドとして地元と観光客から絶大な支持を受けています。尾道ラーメン文化を牽引する、地元と旅行者に愛され続ける尾道を代表する実力派の一杯です。
メニュー
・角煮ラーメン 950円
・味玉ラーメン 670円
・あぶりチャーシューラーメン 840円
店舗情報
- 店名：壱番館（いちばんかん）
- 住所：広島県尾道市土堂2-9-26
- 営業：11:00 - 19:00
- 定休：金曜日
※営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。
5位 太華園（たいかえん）【竹原市】
尾道ラーメンの系譜を継ぎながらも独自に進化。スープのコク、背脂の香ばしさ、麺の仕上がりに徹底したこだわりを持つ実力派。
竹原ラーメンとも呼ばれ、県外からのリピーターも多数。
中華そば 太華園（たいかえん）（広島県竹原市）は、尾道ラーメンの伝統を今に伝える地元の名店です。創業者らが「朱華園」出身というルーツを持ち、竹原で本格的な尾道ラーメンを提供し続けています。その本格派の尾道スタイルと、昔ながらの醤油ラーメンの温かみある味わいで、竹原を訪れるならぜひ立ち寄りたい、地元に根付いた実力派の一杯を提供する名店です。
メニュー
・中華そば 750円
・キムチそば 880円
・チャーシュー麺 980円
店舗情報
- 店名：太華園
- 住所：広島県竹原市中央5丁目9-39
- 営業：11:00 - 19:00
- 定休：木曜日
※営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。
尾道ラーメンQ＆A
Q1. 尾道ラーメンの「背脂ミンチ」とは何ですか？
A. 尾道ラーメンに特徴的なのが、粗く刻んだ豚の背脂をスープに浮かべる“背脂ミンチ”。
炒めたり、湯通ししたりして香ばしさと甘みを引き出してから使われます。見た目はこってりでも、魚介ダシとの相性であっさり感を保ちつつ、深みとコクを加える名脇役です。
Q2. 尾道ラーメンは他の醤油ラーメンとどう違う？
A. 醤油ラーメンというカテゴリに属しますが、魚介と鶏ガラを合わせた出汁に背脂ミンチを加えるスタイルは唯一無二。
一般的なあっさり醤油とは違い、「和風だけど濃厚」「こってりなのに飲みやすい」といった絶妙なバランス感覚が魅力です。
Q3. 尾道ラーメンでの開業はどんな人に向いていますか？
A. 和風ラーメンや醤油ラーメンに馴染みのある方に特におすすめです。
また、重すぎない味で女性客・年配層にも支持されやすく、ランチ・定食業態との相性も良好。
業務用スープや麺を使えば再現性も高く、飲食未経験でも導入しやすい業態のひとつです。
まとめ
尾道ラーメンは、魚介と鶏ガラをベースにした醤油スープに、粗挽きの背脂ミンチを浮かべる独特なスタイルが特徴のご当地ラーメンです。
あっさり系の味わいに背脂のコクをプラスすることで、“こってりすぎないのに満足感がある”という絶妙なバランスを実現しています。
麺は平打ちの中細ストレート麺で、喉ごしとなめらかさがあり、スープとの絡みも抜群。
チャーシューやメンマ、青ネギといったシンプルなトッピング構成も、スープの美味しさをより引き立てます。
開業においては、尾道ラーメンは味の完成度が高く再現性も高いため、飲食未経験者でも取り組みやすいスタイルです。
和風ラーメンや醤油系の中でも明確な差別化ができ、「ご当地感」と「懐かしさ」を武器に幅広い客層を獲得できます。
地域性・独自性・再現性の三拍子が揃った尾道ラーメンは、これからラーメン店を開業する方や、新しいメニューを加えたい既存店にとっても大きな可能性を秘めたジャンルと言えるでしょう。
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