ラーメンの「麺」とは

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1、麺とは

ラーメンの麺である「中華麺」を定義すると、小麦粉にかん水、灰水などを加えて練り合わせて製麺したものと言える。麺は穀物の粉と水を練って生地を作る。それを圧力をかけたり、延ばしたり、切ったりして、紐状にしていったものである。
穀物の粉の違いや成形方法の違い、火の通し方の違いなど実に多種多様の形態があり、ラーメンと同様に定義づけることはとても難しい。
しかし、こと、日本のラーメンに限定すると、基本的には小麦と食塩水、またはかん水でできているものと言える。日本の公正取引期委員会の規約では、麺の成分にかん水を入れないとラーメンとして謳えないとなっているが、こちらは製麺書にて販売する上での規定であり、一般店ではかん水無しの麺もラーメンと謳うことができる。

このサイトでの麺の定義は「小麦、米、および雑穀も含んだ穀物の粉で作られた主食となる、主に線上の食べ物とする」とする。

美味しい麺の特徴は、以下に挙げられる。


  1. 喉越しがよく、舌触りがなめらか。
  2. 適度に柔らかく、弾力的で粘りがある。
  3. 見た目で形、色が綺麗である。

以上3点を兼ね揃えたものが一般的である。

インスタントヌードルを発案した安藤百福さんの解釈によると、

「小麦粉に水を打ち、練ってから平く伸ばしたもの。麦を免状にするから麺と書く。読んで字の如くである。(中略)麺の意味がわかると他の言葉も理解しやすくなる。包丁で切ると切麺(チエメン)、手で伸ばすと拉麺(ラオメン)となる。(中略))線上になったものだっけを指して麺というのは日本式表現である。」


とある。当サイトでもこの解釈で綴りたい。

2、【余談】麺の歴史について(中華麺の誕生)

小麦粉や穀物を粉で挽き、それを練って作った記事を麺の形にする技術は、秦の始皇帝の時代に統一されていったとされる。

そしてその技術の歴史を辿ると、BC5500年頃のトルコでパンを焼くための粉が発掘されており、これがおそらくモンゴルを通って伝達されてきたものと考えられる。

BC2000年頃には中国の東部、西部、南部など様々な地域で利用されていた。2005年に最古の麺として、BC2000年頃の麺が中国南西部のラーチア遺跡にて見つかった。

それ以前は、中国に麺が現れるのは紀元100年頃の後漢の時代というものが定説であった。小麦粉をツッかった麺の作り方が記載されている文字資料の最古は、「四民月令」の「水餅(すいそうへい)」とする説と6世紀中葉、山東省のカシキョウが記した農業実用書「斉民要術」で、その中の「水引餅(すいいんべい)」というのが麺の原型とされる。「水中に浸して指で摘んで韮(ニラ)の葉のように細かくしながら鍋の中に入れて煮る」(青木正児『華国風味』)と記載されているように、「餅」と書いてあるが麺と考えて良い。

中国では宋の時代に貨幣経済が成熟し、商工業が活発に行われるようになり、多くの麺料理や麺食文化が起源していった。

理由として南北の食文化の融合、外食の発達と専門化と、箸が使われるようになったことが挙げられる。とりわけ、箸が使われることは大きな影響があると思われる。

さらにこの時代の中国北部では、塩に変わってかん水が使われるようになった。「中華麺」の誕生である。

日本に入ってきた麺としては、僧の円仁による838年の遣唐使をつづった『入唐求法巡礼行記』にて、麺について触れていることから、その作り方を持ち帰ったのは円仁かもしれない。

もう一説には、奈良時代(700年代)に唐から入ってきた、索餅(サクベイ)と呼ばれる麺である。
1200年代には、仏教研究を背景に中国の食習慣や調理法を取り入れるような土壌が揃い出してきた。

3、手打ち麺と機械式麺の違い

手打ち麺機械式麺
水回し小麦粉の状態を詳細に感知均等になりやすい
圧延人力による限界があり、多加水となるローラーによる圧力により低多加水麺も作れる
長所多加水でゆで時間が短い圧力により伸びにくく、切れにくい麺となる
生産性少量生産大量生産

4、麺の基本的な作り方

  1. 小麦粉を計量する。
  2. 打水(練り水)を作る。
  3. 小麦粉と打ち水を混ぜる。
  4. 麺帯を作る。
  5. 麺線にカットする。

▶︎麺のレシピ・作り方、麺の種類についてはこちらから!

5、麺の概念

中国では「麺=面」は小麦粉、さらには小麦粉から作ったもの。麺条の物から、雲呑(ワンタン)や餃子の皮なども含む。

小麦粉(麺)で作ったものを「餅(ピン)」と呼んでいた時代もある。

ラーメンでいう細長い麺は「麺条」と呼ばれたり、皮は「麺片」と呼ばれたりしていた。
つまり、中国でいう「麺」とは小麦粉を原料として、ヒモ状、あるいは細い帯状に加工して、茹でて冷やしたり熱くして食べるものである。

麺片を大きく薄く延ばして、いくつかに折りたたみ、細かく切ったものが「切麺(チェンミエン)」であり、そこに幅広いものあら細い、極細などとある。

また細くヒモ状にした「麺条」を手だけで細く、長く伸ばしたものが、中国では「拉致(ラミエン)」という。日本でいう「手延べ」である。

要するに、現在の中国では、小麦粉も、それから作る麺条や麺片、饅頭や包子などもすべて「麺」と表記される。

6、麺の基本となる調理方法

麺は息をして熟成をしていくので、それを最小限に抑える温度管理が必要である。また茹でる前には室温程度に戻しておくことで、面への負担が和らぐ。茹でる湯量は麺の総重量の10倍以上であることが望ましい。
茹でる時には必ず沸騰したお湯に入れ、一本一本が泳ぐようにたっぷりの中で茹でることが大切。

茹で上がり後は、スープの味に影響しないように、まとまっている湯をきちんと振り払うことが重要である。

7、麺の種類(大分類)

一般的には、麺を言葉の表として選択する際には以下の3点で大別することが多い。

①麺の太さの分類

極細、細、中細、中太、太、極太、平打、縮れ、手もみ



②麺の食感の分類

ふにゃふにゃ、もちもち、ねっちり、つるつる、ぶりぶり、ザクザク、ボキボキ



③麺の状態の分類

生麺、半生麺、乾麺(フライ麺・ノンフライ麺)、蒸し麺

8、麺の製法の分類

麺の製法は基本的に以下の6つの分類に分けられる。

①機械式

製麺機を使い、製麺する。一般的な日本式ラーメンは、こちらに当てはまる。



②切り出し式

記事を薄くして、刃物で切っていく。手打ち麺は、これが手延べ式、刀削式が多い。青竹打ち式もこちらに入る。



③手延べ式

記事を一本のヒモ状にして、それを伸ばして2つに重ね、これをk繰り返すことで細い麺を作っていく。



④刀削式

生地の塊を刃物で削りながら作る。


⑤押し出し式

生地の小さな穴から押し出していく。


⑥河粉式

こめを浸水してから精粉機に入れてペーストを作り、蒸したものを麺状に切る。

9、麺の加水率の基本

麺を作る際に加える水分量のことを加水率と言います。加水が多いほど、麺に透明感が出やすい。なお、一定の品質の面を作るために季節や天候によって加水率を変動させることがある。一般に夏は加水率を減らし、冬は増やすが、その割合は1〜2%前後である。また、暑い時期には雑菌の繁殖を防ぐために、かん水濃度を増やすこともある。

水は原料粉100に対して、20〜50%を混ぜてこねること。さらに茹でる時にはたっぷりの沸騰水で茹でるということにより、製麺における水は、原料粉に次ぐ重要な原材料と言える。主にph、アルカリ度、硬度が大切な指標となる。

10、麺の基本的な太さ(番手)と、ご当地ラーメンでの使われ方について

ラーメンの麺の太さをよく『番手』という表現で表されるが、これは製麺機での、切刃の太さを番号で表す。
これは30mm 幅の中に何本の面が取れるかによって決まる。麺の分類は通常、麺の太さで決まるので、かん水の有無で定義される。

ラーメンは、あらゆる太さも中華麺となりうるという点からも多様性を生み出している。なお、ソーメンは直径1.3mm未満(24〜30番)、ひやむぎは直径1.3mm〜1.7mm未満(18〜22番)、うどんは直径1.7mm以上(8〜16番)と言われている。

【一般的なご当地ラーメンで使われる麺の太さ(番手)】

28番(1.07mm):極細麺(博多ラーメン系)

  • 28番(1.07mm):極細麺(博多ラーメン系)
  • 26番(1.15mm):細麺(熊本、博多ラーメン系)
  • 24番(1.25mm):細麺(東京、旭川ラーメン系)
  • 22番(1.36mm):中細麺(北海道ラーメン系)
  • 20番(1.5mm)中太麺(ー)
  • 18番(1.67mm):太麺(白河ラーメン系)
  • 16番(1.88mm):太麺(白河、長崎らーめん・ちゃんぽん系)
  • 14番(2.14mm):太麺(佐野、喜多方ラーメン系)
  • 12番(2.5mm):極太麺(喜多方、沖縄ラーメン系)
  • 10番(3mm):極太麺(沖縄ラーメン系)
  • 8番(3.75mm):ー
  • 6番(5.0mm):ー
  • 4番(7.5mm):ー

ご当地ラーメンに使われる麺のレシピ・作り方はこちら>>

11、麺の形状の基本

麺の形状は基本的に「ストレートタイプ」「ウェーブタイプ」「手もみタイプ」の3つに分かれる。
そのカテゴリの中でそれぞれ刃の形状により使い方が異なってくる。
以下、詳細である。

①ストレート麺

 ▶︎角刃の正方形:スープが少し吸いやすくなる形状

 ▶︎角刃の平打:ツルツルしてなめらかになる形状

 ▶︎角刃の長方形:四隅を尖らせた刃で、最も一般的な形状

 ▶︎丸刃:うどんやソーメンに多い形状


②ウェーブ麺

 ▶︎ウェーブ状になっており、スープが絡みやすい。


③手もみ麺

 ▶︎手で揉むことで、ウェーブだけではなく、太い細いなどもランダムになる。


麺のレシピ・作り方はこちら>>

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さいごに

以上のように、ラーメン作りを支える重要な「麺」について詳しく解説しました。
この章では、麺以外にも、スープやタレ、トッピングの作り方など、ラーメンに関する基本的な知識を豊富に取り揃えております。様々なラーメンの作り方を見ながら、ぜひあなただけの嗜好のラーメンを作ってください!

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【記事を書いた人】 
FUMIAKI HOKAZONO

クックピット常務取締役