ラーメン店開業するための(1) 「ラーメンの味づくり」について
いざ、ラーメン店を開業したいとなっても、何よりも重要なのはまずラーメンの「味づくり」である。
マーケティングより、立地より、何よりもまずは自分が納得する美味しいラーメンを作れることが第一に必要なことである。
この章では、ラーメン店を経営する上で必要となる味作りを、どのように進め、どのように考えていけばいいかを解説していくものとする。
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1、まずは「安心」の状況を作り出す
「安心」。食べて空腹がおさまるのが普通。それに満足すればさらに良い。逆に腹を壊したら最悪。「安心」をまずは大切にしなければならない。
兎も角にもまずは素材。ラーメンでも料理でも、まずは素材で決まるが、その中で腐敗や火が通っていないなどのものは論外である。
また、大前提として食材以外でも、同様のことが言える。
丼を洗うのでも洗剤が残ってはいけない。洗剤はなかなか落ちない。そして洗剤は毒になるものであるから、これの付いたどんぶりは出せない。
テーブルを拭くのでも、ただ拭くのではなく、拭いた後に舐められたり食材を置いても大丈夫なくらいにしなければならない。
2、『五感』で感じる美味いを表現する
味は体全体を使って見ていく必要がある。「視覚」「聴覚」「味覚」「色覚」「嗅覚」。自分の感性を大切にして味作りを進めていかなければならない。
3、『味見』の心得
味見は必ず、お客様に提供するラーメンそのもので行う。
よくあるのが、スープだけで麺を入れない状態での味見や、湯切り後の多少の湯が入った状態の麺、ネギに水分がついたままでの状態などがある。
これは味がぼやけてしまうため必ず本番と同じ環境の完璧なラーメンで味見を行わなければならない。
そして、味見の際は一人前を必ず用意して、それを完食して初めて味見となる。
ミニラーメンを食べて味見としても、一人前全て食べるのと、少しだけ食べるのでは食べた後の感想がまるで違うため注意が必要である。
何度も味見を行い、自分のラーメンの味を把握しきったら、次からは麺とスープだけで味見を行えるようにしていく。
また、スープでも醤油でも、味見をする量も一定にする。
そうでないと感じる味の強さも変わってくる。
①色、香り
②口に含んだ時の香り、舌触り、歯ざわり
③喉ごし
④最後の後味(喉を通っての完成味)
それらのパートごとの味をしっかりと把握して感じなければならない。
そして、水を飲んで、少し時間が経ってからが良い。直後では水の味が残る。また、お茶などは味が強いので控えるべき。
デフォルトの味。何もない状態の味見を特に大切にし、デフォルトの味での最高の状態を目指す。
また、各パーツを作る際、タレでも、何でもだけが「ここ!」という瞬間がある。
こっこで止めてみる(濃さを推奨)。
味見をする(色と味)。直後や1日熟成させたものを味見。
肝心なのはスープとの組み合わせを考えて作る。
とにかく味見をすることで、イマジネーションを膨らませて、味の方向性やイメージの差異を感じ取り、目指す味にするための行動に移すきっかけになる。
4、自分の「味(舌)」を鍛える
味は覚えるもの。
教わるものではないし、レシピがあったとしても作って見ないとわからない。
たくさんの味見を通して体で覚えた感覚を大切にする。
体で覚えるということは、自主性とその思いがなければ到底覚えることはできない。覚えたいという強い思いを持って味を見ることで、味覚は育っていく。
味覚というのはとても繊細で、一人一人の評価もそれぞれ違う。
タレひとつをとっても、1日熟成、2日熟成、7日熟成やまた、置いておく時の状態(温度)によっても味はわかってくる。
どれが良いいうのはなく、あなたが求める味やその店の味にするための最高の状態を見極めていく必要がある。
理想のラーメンを求めていく際に重要なことは、「タレを作る!スープを作る!」ではなく、「〇〇のラーメンを作る!」といった具体的イメージを持った上で、タレやスープを作っていく必要がある。
タレやスープの組み合わせは無限大だ。
同じタレでも置いた日数の熟成度によって味が変わるし、出汁でも、出汁の組み合わせ、煮込み時間の変化で味は大きく変わっていく。
まずはたくさんの単体の味を知り、それに慣れてきたら複合の味を理解していく。
無限大にある組み合わせから、理想のラーメンに合った答えを見つけていくのだ。
例えば、最高のショートケーキを作っていく際、クリームが美味しいからと言って闇雲にクリームを重ねたのでは甘ったるくしつこい味に仕上がってしまう。最高のケーキは、クリームとスポンジとイチゴの量が黄金比的に入っており、味がベストバランスで構成されていることだ。
ラーメンも同じである。
闇雲にいい素材をたくさん入れたからといっても良いラーメンには仕上がらない。
たくさんの素材を入れすぎるということは、それだけ味が複雑になりすぎ何の味だかわからなくなってしまう。
様々な素材を試し、組み合わせ、理想のラーメンの味を求める。
そして最後は試した様々な要素を削り落とし、シンプルに仕上げていく必要がある。
どんなラーメンも、行列のできる美味しいラーメンは必ずシンプルな構成で作られている。
かのAppleの創業者スティーブ・ジョブスはこう言っている。
シンプルであることは、複雑であることよりもむずかしいときがある。物事をシンプルにするためには、懸命に努力して思考を明瞭にしなければならないからだ。だが、それだけの価値はある。なぜなら、ひとたびそこに到達できれば、山をも動かせるからだ。
これはビジネスの世界だけでなく、味作りの世界でも同じことが言えるだろう。
5、いつも同じ味の「商品」を提供し続ける必要性
いかにラーメンが完成したとしても、それを毎日同じ一杯を提供し続けなければならない。
この最高の一杯を毎日同じクオリティで出し続けることができるか?また、その技術は足りているか?スタッフでも同じクオリティが提供できるか?
それらを自問自答する必要がある。
お客様は最初の一杯、いや最初の一口でまたお店に来るかどうかを考えるものだ。
あなたの作り出すラーメンは、果たしていつも同じクオリティを出せるものなのか?
\高クオリティのスープを安定供給!/
6、ラーメンのバランスを考える
麺とスープ、具材、その総合点で味は評価される。
全ていい材料を揃えればいいものではない。高級だから良いのでもない。全ては黄金比での組み合わせが大切なのだ。
一般的に、とんこつスープには太麺は合わない。細麺の方が相性が良い。
ではそれに合わせる具材として一般的なメンマはどうだろう?細麺に合わせるには、普通のメンマは太すぎて食感が悪くなる。
そのため、一般的な細麺の博多ラーメンは、メンマではなくキクラゲを使用して、麺の細さと合わせているのだ。
最高のラーメンとは、スープと麺と具材の相性(配合)が最適なものと言える。
麺、スープ、具材がケンカせず、旨く美味しく味わえるのが良い。
バランスの微調整は至ってシンプルだ。
完成したスープとタレを合わせ、麺を入れる。これならばスープはもっと濃度(ブリックス)を上げよう!もしくは麺をこうしよう!…などとバランスの微調整を重ねていくのだ。
例えば、ネギやチャーシューといった具材ひとつとっても、切り方やサイズによってもバランスは大きく変わっていく。
具材は特に見た目にも影響するため、キレイな形で整った上に、味のバランスが良い最高の状態を見つけ出す必要がある。
7、あえての『非レシピ化』で味覚を鍛える
味付き玉子・スープなどは「味を覚える」ために「味に関心」を持つために非レシピ化するという考え方もある。
レシピかすると誰でも出来るので、オートマチック化していく。
ここで自分の味覚を鍛えていくために、あえてレシピ化を辞めてしまう。
例えば、味付き玉子のタレを毎回少し残して、タレの「継ぎ足し方式」で作ってみる。
こうすることで、都度タレの量や濃度が変わり、自分の舌だけで平均の味を出し続けなければならなくなる。
これはスタッフの味覚教育にも重要となる要素なので、ラーメンの根本的な味作りを壊してしまわない範囲で出来る非レシピ化も検討してみると良い。
8、自分の中でしっかりとした味の「基準」を設ける
スープでも何でも、基準を作る。
作りたい味をイメージし、出来るだけ明確に具体的に頭に入れておく。そうすることで、実際にどこかどう違うのかが分かり易いし、一定になりやすい。
白湯(パイタン)、清湯(チンタン)、甘い、こってり…。5分、10分で味は大きく変わってくるので、都度の状況を確認しながら作り上げていく。
完成してから味を確認するのでは不安定でバラバラになりやすい。まずは自分の中の味の基準を明確にし、作り上げながら確認し、基準からズレればその場ですぐに調整する心構えが必要である。
9、ラーメンの基本を勉強しよう
ラーメンなり、料理なり、味覚という感覚に訴えてくるものは流れとして身を任せて入ればいい。
食べるという行為は、湧き上がる感情に任せていればいいが、ラーメンをよりよく知り、作っていくためにはラーメンの文法や技法を知った上で作り上げた方が美味しくなる。
その概念しかわからなくても、食材の入れる順番、処理の仕方、弱火か強火かまた、変化をつけているのか、蓋をするのかしないのと、厳格な文法に従っている。
音楽で言うと、ビートルズでさえ音楽専門学校で学び、モーツァルトでさえイタリアでバロックを徹底的に学び、それから楽想と音楽の領域が拡大した。
料理では、ロブションは膨大な数の下処理や食材や調理への挑戦を経て完璧な料理の域に達し、辻静雄でさえ毎日の魚の下処理や名シェフからの料理の手解きと歴史研究の中では育中では育まれていった。
文法や技法もらーめんにとっては必要不可欠と言える。
10、「材料」を見極める
適切な材料を見極めることはとても大切である。
材料の銘柄や産地も大切。大切だが、何よりも出汁の取り方など、扱い方が最も大切である。
適切な材料を見つけ、その材料のポテンシャルを引き出すための調理を含め、初めて材料を使いこなしていると言える。
材料というのも突き詰めると非常に奥が深い。
例えば、とんこつスープの材料となる「豚骨」を最高のものを用意したいとなった場合、どの産地のどの銘柄が良いのか?
また、それを見つけることができた上で、その材料は安定的に必要な量を毎日手に入れることができるのかの確認も非常に重要である。
そして、いい豚骨とは何か?それを突き詰めると、豚が食べている普段の食事内容。豚が生活している環境の確認も非常に重要となる。
例えば、餌に凝って栄養バランスのしっかり取れた食事を毎日食べており、自然の中でストレスの少ない環境でノビノビ育った豚は、その骨自体も非常にいい仕上がりとなり最高の出汁を取ることができる。
一方で、適当な安い餌で育ち、飼育環境も糞もなかなか掃除してもらえず、病気の豚も蔓延し、なんとなくドンヨリした環境で育った豚では、味も全く異なってくるのだ。
私たちクックピットが作り上げている豚のとんこつスープも、非常に良い環境で育て上げた豚を使って調理している。
そして、私たちのこだわりは「鮮度」にも非常に強いこだわりがある。
それは、食肉工場内にスープ製造工場を建てることで、骨になった瞬間にすぐにスープ釜に入れられるのだ。
これは釣り上げた魚をその場で捌いて食べる、漁師にだけ許された特権と全く同じこと。
骨になった瞬間からすぐに炊き上げるスープの鮮度はまさに極上!最高の鮮度で炊き上げたこれ以上ないスープに仕上がっています。
以上のように、材料の良し悪しを判断していくためには、その材料がどういう風に育って収穫され、最終的に手にする人にどのように届けられているのかを判断材料の一つとして考えていく必要があるのです。
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11、「火の強さ」を見極める
火加減というのは厳密には気圧や天気、季節、さらには醤油自体(同じ物でも豆による多少の違い)でも変わってくる。
そのため、火加減をマニュアル化したところで一定の安定した味には仕上がらないのだ。
では味を安定させる火加減とは何か?
結局のところは、自分の「味覚」に頼るしかない。
火の強さのみではなく、完成品の味を確認しながら火加減を調整するのだ。
火加減というのはあくまで外見でしかない。中身のことは「舌」でしか判断できないので注意が必要だ。
12、スープの質
スープの質を見極めなければならない。そして、スープというのは非常に繊細だ。
「良いスープ」というのはタレやスープ量では左右されない。スープだけで一つの味として完成している。
「薄いスープ」といのは、単に味が薄いことを言っているのではない。少し伸ばしただけでも、味の変化が顕著となるスープのことだ。これは少量のタレ、スープの濃さで味が大きく変わってしまう。
薄いスープを使うことが必ずしも悪いわけではないが、そういったスープを使用する場合は特に注意が必要となる。
丼にスープを入れる際も、スープの「色味」に気をつけることはもちろん、タレに混ざる色にも注意する。
たった一滴の量が異なるだけでも味の変化は大きく異なる場合があるためだ。
「良いスープ」とは何なのだろうか?
「良いスープ」というのは、天然で炊き出された無添加のスープのことを言う。
つまり、水と骨、野菜などの材料となる原料を寸胴で炊き出したものだ。これは他に化学的調味料などは一切入ってない正真正銘の本物のスープである。
このスープであれば、例え濃度が低く、薄い味付けであっても決して伸ばしても変わらない力強さを持ったスープとなる。
業界用では『ストレートスープ』と呼ばれることもある。
「薄いスープ」と言うのは、化学調味料を使い、人工的にスープっぽい味付けにしたスープのことである。
もちろんコストやオペレーションを考えた際にはとても心強い味方となるスープだが、味に関して言えば使用方法を適当に扱ってしまうとすぐに味がブレる原因ともなってしまう。
▶︎【おすすめ】業務用ラーメンスープの種類の違いを徹底解説!
\ストレートスープのパイオニア!クックピットの無添加スープ/
安いスープを使って『本物の味』を出す方法
上記の良いスープを「天然スープ」、薄いスープを「化学スープ」と名称付けて解説していく。
「天然スープ」 | 「化学スープ」 | |
味 | ◎ | △ |
コスト | △ | ◎ |
扱いやすさ | ○ ※多少の量ではブレないが、冷凍スープを溶かす工程が必要。 | ○ ※常温ですぐに使えるが、多少の量で味がブレやすい。 |
▶︎【解説】業務用ラーメンスープってどんな物があるの?
以上のように、味が良い分コストの高い「天然スープ」。
コストは安いが人工的な味の「化学スープ」という2種類の業務用ラーメンスープが存在している。
どちらも一長一短の特徴がある。
もしあなたがラーメン店でミシュランを狙うつもりなら、使うスープは「天然スープ」以外の選択肢はないだろう。
しかし、大型店舗展開やFC(フランチャイズ)展開を考えているラーメン店では、「化学スープ」の使用を避けては通れない。
そこでコストと味の両立を図る手法として、
『「化学スープ」のコストをベースに、「天然スープ」を少しだけ混ぜる』
という方法がある。
例えば、一杯300ccの化学スープで作られたラーメンがあったとする。
ここに10%量の30ccの天然スープを注ぐだけで、味はたちまち天然スープに近づくのだ。
化学スープが人工的な味になってしまう理由としては、「先味」「中味」「後味」に問題がある。
・モワッとした人工的に作られた偽物の風味。
・喉が非常に渇いて、味に集中できいない中味。
・胃がムカムカする後味。
これを天然スープと比べた場合の味の評価は以下の通りとなる。
天然スープ | 化学スープ | |
先味 | 風味豊かな出汁の香り | 人工的なモワッとした風味 |
中味 | 味だけに集中して食べ進んでしまう | 喉が乾く添加物 |
後味 | 美味しかったの感想だけ残る満足感 | 胃がムカムカする |
たった30ccの天然スープを注ぐだけで、化学スープのデメリットを消してしまうことができる。
クックピットの天然出汁【鶏】であれば、一杯あたり17円〜でその効果が実感できるだろう。
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13、タレの味は「スープ濃度の調整」で整える
ラーメンの味作りの基本は、「タレが濃いからスープを薄く」。「タレが薄いからスープを濃く」となる。
しかし、スープが濃くてもうま味(アミノ酸やグルタミン酸)がないとか、スープが薄くてもうま味が出ている等もあり複雑。要はバランスが重要となるため、こればかりは実験を繰り返し理想のラーメンを追い求めるしかない。
タレの味をスープで調整していく場合、「スープ濃度」で調整する方法がある。
スープの濃度のことを「Brix(ブリックス)」と言う。
ブリックスは水を0(ゼロ)とし、数字が高ければ高いほど濃度の濃いスープとなる。
このブリックスの調整は、スープと水で希釈(割る)して調整ていく。
例えば、ブリックス10の鶏白湯スープ150ccに対し、水150ccで希釈した場合、ブリックス5の鶏白湯スープ300ccが出来上がる。
このように、タレ50ccにブリックス10のスープで味がくどい場合は、ブリック5やブリックス3に調整してタレとスープをぶつけ、味を調整していくのだ。
14、「タレの調整」の注意点
生スープの薄める限度を決めたら、タレの量を動かしてはいけない。
タレの量を変えてしまうと、根本的な味を決める部分がブレてしまうためタレ量を変更しての味開発はおすすめしない。
家を建築を例に挙げると、「タレで家の柱」を作り、「スープで外壁」を作り、「麺と具材で内装」を仕上げる。
外装や内装はリフォームで調整できるが、柱は一生物である。
このようにラーメンを完成させるにはタレと生スープでバランスを図り、スープの濃度や量を調整しながら味の妥協点を見つけていく必要がある。
15、再度、「厳しく」見てみる
タレ・生スープの味を表面的にみることもとても大切だけれども、後味や喉ごしなど、感じる味は多々ある。
深いところで見ていくと、さらに洗練された味となっていく。
完成できたとその場で喜んでいても、あえて3日間頭を冷やすことをオススメする。
3日後に再び試食し、再度厳しい目で見てみる。
数日前は気付けなかった味に気づけるかもしれない。
16、適切な「時間」で作れるかを測る
最高の味が完成できたとしてもすぐに浮かれてはいけない。「時間」を考えなければならない。
ラーメン屋において、考えなければならない時間は大きく3つある。
1、提供時間
2、食事時間(滞在時間)
3、仕込み時間
どんなに綺麗な盛り付けで、美味しそうなラーメンでも提供までの時間が長すぎては意味がない。
ラーメンというのは安い料理である。2023年現在になっても1000円以上のラーメンは高すぎるという評価を受けてしまう。
つまり、ラーメンで重要なのは「回転率」なのだ。
ランチタイムの短い時間に、いかに大量のお客様を捌き、回転率を上げ、売上を確保するかの戦いだ。
1、提供時間
回転率において「提供時間」は非常に重要だ。
例えば、極太のつけ麺は、麺の茹で上がりだけで5分以上掛かり、提供時間は7分ほど必要なのに対し、博多ラーメンは極細麺のため茹で上がりは30秒。提供まで90秒で出せてしまうのだ。
これをランチタイムに100人回転させる場合、つけ麺は11時間以上必要で、博多ラーメンは2.5時間でさばけてしまう。
(※お客様の食べる時間は一切考慮しないで計算した場合)
このように自分の店作りに合わせた提供時間ができるかを事前に確認しておく必要がある。
例え盛り付けが非常に綺麗でも、その技術は今後他のスタッフにも教育していかなければならない。
ラーメンもビジネスのため、どういったラーメンの形が自分の経営スタイルに一番適しているかを事前に考えた上で提供時間を見直していく必要がある。
2、食事時間
1の提供時間と被る部分もあるが、お客様が食事する時間というのも非常に重要な要素となる。
例えば、吉野家で牛丼を食べて帰る時間と、居酒屋で飲みながら食事する時間が異なるように、お客様の滞在時間も考慮した計算をしておかなければならない。
一般的にラーメンの完食時間は、男性で8分、女性で12分と言われている。
このように男性と女性で完食時間は大きく変わるため、まずターゲット選定からしっかりと計算しておかなければならない。
また、提供するラーメン自体をしっかり把握しておく必要がある。
細麺の博多ラーメンなら量も少なくすぐに食べ終えてしまうだろうが、替え玉をする人は多い。
一方、普通の味噌ラーメンなどは、博多ラーメンよりも提供時間が遅くなるが替え玉をする人は少ない。
また、つけ麺は替え玉はないが、大盛りにして食べる文化が根付いており、歯応えもあるため滞在時間は自然と長くなる。
このように、お客様の食事時間もちゃんと考慮した上で、理想のラーメンと仕上がっているかを確認しておく必要がある。
3、仕込み時間
仕込み時間がどれくらい必要なのかを事前に把握しておく必要がある。
例えば、スープを8時間炊くとんこつラーメン屋の場合、
- 15時:開店準備(掃除や軽い仕込み)
- 17時:お店開店(営業開始)
- 21時:閉店
- 23時:閉店作業(掃除やレジ締めなど)
- 01時:作業終了、帰宅
- 02〜07時:趣味、睡眠など
- 08〜15時:スープの仕込み(8時間)
- 開店作業へ…
このように一人では経営するにはとても体力が追いつかないのだ。
こうなってしまうと、一部作業を外注に回すか、スタッフにスープ仕込みを伝授していく必要が出てくる。
事前にこの計算を怠って開業してしまうと、心身ともに先に限界が来てしまう可能性が高い。
仕込み時間、営業時間も計算した無理のないラーメンの提供ができるかを事前に把握しておく必要がある。
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19、味作りの先へ!「灰汁取り」の徹底
ラーメンに使うスープ、タレ、出汁の灰汁取りを徹底する。
灰汁(アク)は沸騰すると取ることができない。
灰汁取りは、静かに取るのが鉄則。スープが波打つと、その分灰汁が混ざってしまい下にも入り込んでしまい、灰汁が十分に取れなくなってしまう。
灰汁は取りに行くのではなく、サジに入ってきてもらうように行う。
火を入れて一時間前後で灰汁が出てくる。かき混ぜて、まず血あいを取る(これを沸騰すると混ざるので取れなくなる)。
白色や黄色のものは基本的にうま味なので取ってはいけない(脂だが、今の時点では取らない)。
ガラが焦げ付かないように、スープの中でどのような動きがあるのかを考えながら行う。
灰汁は混ざると下にも行くので、スープを波立てずに取っていくのが鉄則。
20、味作りの先へ!「蓋」の徹底管理
スープでも、タレでも蓋はきちんと閉めることを徹底する。
蓋が少しでも空いているとそこから蒸発し、煮詰まっていく。
あえて蓋を開けて作るスープもあるが、基本的には蓋は徹底管理し、煮詰まらないように注意が必要である。
ラーメン店を経営するとランチタイムが過ぎ、人の少なくなるアイドルタイムが必ずやってくる。
ここの時間でスープを寸胴に火をかけっぱなしにしてしまったり、蓋を開けっぱなしにしてしまうことで味の低下を引き起こす。
ディナータイムまでの重要な準備時間に、肝心のスープの味が壊れてしまっては店の生命線に関わってしまうのだ。
このように、意外とおざなりになりがちな「蓋」の管理は徹底するよう心がけよう。
21、味作りの先へ!「酸化」の注意
空気に触れている部分は、どのような食材も酸化していく。
スープは時間が経つと劣化していく。おそらく酸化が主な原因である。
スープの量が減ると酸化しやすくなるため、なるだけ一定の量と温度で保つことが大切。
スープもチャーシューも時間が経つごとに酸化していく。空気に触れて、味に変化をもたせていくし、多くは腐敗である。
チャーシューはお店に営業が始まる事前に準備しておくとラクにはなるが、味は落ちる。
注文ごとにカットするのは大変だが非常に美味しい。
22、味作りの先へ!「かき混ぜる」
スープでもタレでも使う前に必ずかき混ぜる。
スープならば熱効率による上下の温度差、酸化の度合いなど。
タレならば、下の方に結晶が溜まりしょっぱい。混ぜても沈澱するスピードは早いため、毎回使うごとにかき混ぜていくのがベストである。
23、味作りの先へ!「温度」
ラーメンの味は温度で変化する。
塩味は冷えてくると強く感じるし、逆に甘みは温かいほど強く感じる。
このように温度というのは味覚に敏感に反応するのだ。
ラーメンの温度が1℃下がるごとに味は急激に落ちる。
ラーメンの旨さを保つためには温度というのが非常に重要なキーとなる。
ラーメン店では、丼も温めてから提供されるのはこのためだ。
つけ麺のスープを温め直してくれたり、熱い石を入れてくれるサービスもまさにこれが理由となっている。
盛り付けにこだわり過ぎるあまり、ラーメンの温度が下がってしまうならそれは味を落としてから提供しているのと一緒である。
非常に温度にシビアな料理だからこそ、気を遣った温度管理を心がけてほしい。
\ラーメンの美味しさを引き上げるラーメン専門出汁!/
さいごに
以上のように、クックピットではさまざまなラーメンレシピや、開業までの基礎知識、繁盛店のノウハウ集まで幅広いコンテンツを取り扱っております。
様々なラーメンの作り方を見ながら、ぜひあなただけの嗜好のラーメンを作ってください!
ラーメン専門に特化した食品メーカーであるクックピットが開発した、ラーメンのパフォーマンスを引き上げる『天然出汁』!
あなたのラーメンに“ワンレードル”足すだけで、最高の「先味・中味・後味」をプラスさせます。
私たちが長い年月をかけ、命を注ぎ込んで作り続けてきた「天然出汁スープ」をぜひ一度味わってください。
\クックピットのラーメンレシピをご紹介!/