ラーメン店開業するための(2) 「店づくり」について
ラーメン店を経営する上で、どういう心構えで店を開けば良いのか。
ラーメン店の仕事内容はどういうものなのかなど、ラーメン店を開業する上での基本的な内容を解説していきます。
▶︎ラーメン店開業「味づくり編」はこちら>>
▶︎ラーメン店開業「店づくり編」はこちら>>
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1、ラーメン店はビジネスだ
ラーメン屋さんは売れないと続かない。
最高の食材、作り方を知っていても、売れないと潰れてしまう。お客様に来ていただかないといけない。
どうやって集客するのか、どうやって収益を上げるのか。
ラーメン店というのは職人のイメージが強いですが、あくまでビジネスである。
そのため、ラーメンをたくさん売って「稼ぐ」ということを第一に考えなければならない。
ラーメン屋というビジネスをうまく成功させていくために、必要となる基本的な仕組みやサービスについて簡単に取りまとめていこうと思う。
2、仕事の目的(従業員の心得)
お客様に喜んでいただき、満足してもらうこと。
お客様に満足してもらった結果、その対価を得られるということを念頭に置き、下記項目を心得なければならない。
①ホールの人の目的とは
▷お客様に居心地の良い空間と時間を提供する。
②厨房の人の目的
▷お客様により良い商品を安定して提供する。
③常に「人」のことを考える
▷常に「お客様」「地域」「仲間」のことを考えて、良いか悪いかを考えながら行動する。
3、ラーメン屋の仕事の心得
飲食店でのサービスとなるため、
①確実に。
②スマートに。
③速く。
④ラクに。
を徹底する。
食べ物だから、綺麗に丁寧に扱う。
当たり前のように思えるが、行列のできる繁盛店は必ずここが徹底されている。
だからこそ多くのお客様に対応ができ、満足してもらえる結果、また多くの行列ができるのだ。
基本を大切にしなければならない。
4、店の方針
トップの人の意見で運営。もし間違っていると思って、それで経営が成り立っていればOK。
トップの人が間違えを正していけばいいし、その繰り返しで店が良くなれば良い。
経営とは、トップである経営者の土俵で成功の土俵が変わってくるものだ。土俵を大きくするには、トップがお店と一緒に成長していかなければならない。
そして、トップは必ず従業員みんなが向かうべき方向性(コンセプト)を明確にして、道を指し示さなければならない。
(お店のコンセプトの作り方は下記リンクを参照)
▶︎関連記事:【繁盛店へ道①】コンセプト(ミッション)を明確にする
5、店の回転スピード
店全体で仕事をしていく。一人だけ仕事が早くてもうまくいかない。店全体の動きの流れで考える必要がある。
ラーメン作りが早くても、それを運ぶ人が遅ければ意味がない。
店全体の動きが早くなれば、お店に活気も出て、その空間は熱気の入った居心地のいいプラスの空間に変わる。
なぜ、みんなで一丸となって動かなければならないのか。
なぜ、早く提供する意味があるのか。
なぜ、仲間を助けなければならないのか。
店の回転スピードを上げるということは、従業員もお客様にとっても、全員がプラスの意味がある行動だということを全員が共通認識として持っておかなければならない。
6、経営のバランス
繁盛しているラーメン店は必ずバランスが良い。バランスという概念で店舗を経営していく必要がある。
ダメな例として、なんでもお客様の言いなりになってしまうお店。
ちょっとした常連さんへのサービスならまだしも、カレーが食べたいと言われたからメニューに追加してみた。うどんが食べたいと言ったから限定麺で出してみた、など。
お客様に寄り添うことは非常に重要であるが、お客様主導になってしまうとバランスは崩れてしまう。
メニューも増えて、コンセプトがバラバラのラーメン屋になってしまうし、仕入れ価格の上昇や、廃棄ロスなどにも繋がってしまうかもしれない。
ラーメン店のバランスとは、「①お客様」「②店舗」「③経営者」の3本のバランスが均等になって初めて効果を発揮する。
そのため、お店が独りよがりになっても意味がない。
高齢者ばかりの街に、これがいいんだ!と、若者向けのコッテリ大盛りラーメンを出しても意味がない。
お客様のためにと、利益を削って安いラーメンを提供しいても、最終的に経営者に利益が入らなければ意味がない。
ラーメンも歴としたビジネスだ。リスクを賭けてやるからには必ず儲けないといけない。
まずは、お客様と店舗と経営者の3本が幸せになれる良いバランスを見つける必要がある。
7、「人」がいる前提のビジネスであることの理解
ラーメン店は人の上にしか成り立たない。職人の店ではもちろんのこと、チェーン店であっても、ラーメンを作る人がいて、お客様と接する人が’いて初めて成り立っている。
海外ではロボットが提供する無人ラーメン店も出てきているようだが、現状の飲食店では「人の思想」を介してのビジネスが当たり前であることは、しっかり理解しておかなければならない。
人を裏切る行為をしたらラーメン経営は絶対にうまくいかないのだ。
8、「発声」が店を作る
お店の雰囲気は「発声」から作っていく。
元気なラーメン屋は、「いらっしゃいませ」の声量から違う。
大きな声を出すことが必ずしも良いわけではないが、お店のコンセプトに沿った発声が必要である。
京都の老舗和食屋の「いらっしゃいませ」と、魚屋さんの「いらっしゃいませ」が違うように、まずはお店づくりにあった発声方法を取得する必要がある。
何もよりも重要なのは。「聞きやすい」こと。語尾を上げて、高い声で「ソ」の音で。
従業員みんなが同じ発声にすることで、入った瞬間にお店の雰囲気を感じ取れるのだ。
9、一斉唱和
「いらっしゃいませ」から「ありがとうございます」
数ある店から、遠くからわざわざお越しいただいた感謝を込めて全員で発声する。
余裕があればお店の外までお見送り。その暇がなければ目線だけでもお見送りするサービス精神が重要である。
10、アイコンタクト
お客様や仲間を見る。相手の状況を理解し、仲間同士でそれをサポートする。
お客様がお会計をしようとしている、替え玉を頼もうとしている、スタッフが新規のお客様の対応をしようとしている。
みんなが一丸となって一つの目標に進むからこそアイコンタクトで通じ合えるのだ。もしアイコンタクトがなかなかできないのであれば、まだ従業員にお店のコンセプトが浸透していないか、マニュアルが不適切となっているのだ。
例えば吉野家では、わかりやすいマニュアルを用意している。
「お客様の水が減っているから、お水を注ぐ」。これは一般的なマニュアルだが、意外にもこのルールでは曖昧なのだ。水が半分減ったら入れる人もいるし、完全に水がなくなってから入れる人もいる。これだと個人の分量が張ってしまい適切なマニュアルではないのだ。
そこで吉野家では、「お客様の湯呑みの角度でおかわりを注ぐ」というマニュアルで対応している。
これは透明なグラスの水ではなく、湯呑みに入ったお茶のためお代わりを注ぐタイミングが難しかったことにも由来しているが、『角度』という全員が一定の法則を設けているからこそ、一つの目標に向かって進みやすくなるのだ。
11、確認
人間は必ずミスをする生き物だ。だからこそ「確認」を徹底させる必要がある。
ミスをなくすためにも、どんなことにも確認を怠らない。
伝票も盛り付けもオーダーも提供も、それぞれ確認する。
ラーメンというのは一杯あたりの利益が非常に低い商売である。そのためお釣りの受け渡しミス1つ発生するだけで何杯分の利益が飛んでもおかしくないのだ。
そうならないためにも確認するのが当たり前の文化を作っておく方が良い。
12、素早い提供を心がける
ラーメンができたら素早く提供する。一見当たり前のことのようにも思えるが、ラーメンという食べ物は1℃でも温度が下がると急激に味が落ちる食べものなのだ。
そのため、提供が1分でも遅くなってしまうと、味の劣化が起こり、不味いというわけではないが、やはり初めの一口が決め手となるラーメンは、その提供時間によって二度来るかどうかが決まると言っても過言ではない。
また、スープも時間によって変化しやすく、温度変化にも敏感なので、少しの温度差ですぐに酸化による劣化が始まってしまう。
麺も秒ごとに伸び、スープを吸い、相乗的に劣化していく。具材も同様である。
出来上がったラーメンは1秒でも早く提供!これを心得る必要がある。
そのため、お店の作りでもラーメンが提供しやすいかどうかはしっかり考えるべきポイントである。
13、オープンキッチン
お客様に丸見えとなるオープンキッチン。デザイン的にはすごくオシャレでカッコよく見える反面、仕事が丸見えとなるため丁寧な仕事っぷりが求められる。
1つ1つを丁寧な動きを心がけ、食欲をそそる仕事を綺麗に見せなければならない。
仕事っぷり一つが食欲をそそる調味料となるのだ。
手際の良し、悪しなどもあるが、基本的には自信を持って堂々と営業することが大切である。
14、サイド・メニュー
ついつい増やし過ぎてしまうサイドメニューは、作り過ぎないシンプルな形が望ましい。
色々とメニューを増やすことでお客様の要望に幅広く対応できるという利点がある一方で、お客様もメニューに迷いやすく、1番の自信作を食べてもらうことができなくなるかもしれない。
また、メニューの増加により食材の仕入れ量も増やさなければならないし、その分置き場所の問題も増える。
また、仕入れ増加に伴い食品ロスが増える可能性もあり、利益率の低下にも繋がりやすい。
ラーメン屋では定番となっている餃子も、メニューに入れるとなると少し検討する必要がある。
餃子というのは、お店での手作りを除けば、業務用の冷凍餃子を仕入れて提供することが一般的である。冷凍品ということで賞味期限の問題は基本なくなるが、冷凍庫の保存置き場を考えなければならない。
また、餃子を小さなフライパンで提供するならまだしも、餃子専用の焼き台を導入する場合、厨房にかなりのスペースを取られることとなる。そして餃子の焼き時間は5〜7分とラーメンの提供時間とは異なる。これもラーメン提供時間の妨げになるようでは元も子もないのだ。
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ラーメンと餃子は最高の相性なので、メニューとしては第一に検討すべき内容だが、メニューを増やすということはそれだけ他の物事も同時に考えた上で行動しなければならないと言える。
例えば、「良いメニュー」の増やし方としては以下のような内容が挙げられる。
- つまみメンマ
- おつまみチャーシュー
- もやし炒め
- つまみ味付き玉子
など、すでにラーメンとして使われてるメニューを別皿に盛るだけで提供できるメニューが望ましい。
本来はラーメン一本で戦えるのが理想なので、メニューは簡単に増やさない方向で展開していってほしい。
15、洗い場
食器がなくならないように心掛ける。
開業当初はアルバイトも雇えずランチ時に食器が足りなくなることもよく発生する。
ラーメン屋の多くは食器洗い機を導入しているお店も多く、今後の人件費を考えると食洗機の導入は初期から検討しても良い事項と言えるだろう。
また、食器洗いはなるべく静かに音がしないように洗うべきである。店によっては洗い場が見えてしまうので、お客様はそう言ったところもしっかり見ているものだ。
16、ホールサービス
周りを見る。思い込まずに、状況を見る。実際に目を向けなくても、神経の集中でここに人がいることを察知できる心構えが必要だ。
箸を落とす音がしたら、すぐに新しい箸を提供しに行く。氷を傾ける音がしたら、すぐに水のおかわりを提供する。ほんの些細なことだが、お店に滞在する数十分の時間でそういったサービスを提供できて初めて、気持ちの良いサービスとして受け取ってもらえるものだ。
一緒に働くメンバーとも動きを合わせ、一人ひとりに合わせた動き方を徹底する。
追加オーダーはきちんと出来たか。最終確認までが仕事である。そこにミスがないのはもちろん、催促したり、他の人が言えなかったことを補足してあげる必要がある。
案内する際、「何名様ですか?」をいうのは一人で十分。中の人も含めて、いろんな人が聞きがち。お客様の立場からすると重複すると非常に面倒に感じられてしまうため注意が必要だ。
また、案内の際、必ずお客様の顔を見る。ただ「こちらにどうぞ」ではなく、きちんと聞いているかを把握し、きちんと案内する席を示してあげる。
座席確認も重要だ。お客様が座った場所を覚える。伝票を持って立ったのか、それともトイレに立ったのか、把握できるのはホールの人間しかいないため、ホールが責任を持って全席を把握することが望ましい。
お客様が出たら、忘れ物がないか必ず確認する。
お子様連れならば、取り皿がいるかどうか必ず確認する。
間違えがあれば、まず謝る。怒っていてもまずは謝り、そこから対処するようにする。
17、朝の用意
床を掃く、カウンターを拭く、カスター・セットを揃える。
ガラスを拭く、おもて周りを掃除、モップ、グラスの用意など。
18、盛り付け場の仕事
①伝票を管理し、順番通りに盛り付けお客様にお出しする。
②ピークタイムは店全体を管理し、的確な指示を出す(お冷、ご飯、ラーメン、チャーシュー切り、ネギ切りなど)
③冷蔵庫などの汚れをこまめに拭き取る(特にお客様の目に触れるところ)
19、麺上げ担当者の仕事
麺上げをする人は必ず味見をする。生スープも。
店の商品を提供できるものに持っていくポジションなので、責任重大。
20、まずは行動を心がける
ラーメン作りでも、サービスでも、店舗運営でも、なんでも思ったらまずは行動する。
変な先入観は捨てなければならない。常に今後を決めるのはお客様の評価でしかない。
つけ麺やまぜそばも、出た当初は珍しくきっとバッシングも多かったことだろうと思う。しかし今ではラーメンの一つのカテゴリと言えるほどの市場規模に広がっている。
どんなことでも、先入観は捨て、自分の直感に従いすぐに行動していくことがこの厳しい業界を生き残っていける重要な要素のひとつである。
21、機械化で効率アップ
手で作れる量をまかないきれなくなった時に採用する心がけでいよう。最初から無理に導入術出来ではない。
機械化により大量生産の他、品質の多少の劣化と、品質の安定化が見込める。
機械化の入門としては、食器洗い機、製麺機、茹で麺機、餃子焼き機などから始めていくのが良いだろう。
22、適正在庫
材料の保存に関しては「適正在庫」を心がける。
あるべき量・数を入れる。多過ぎず少な過ぎず。スペースも余裕を保ちながら。
これは仕込みでも、ストックでも共通する。
ラーメンは一杯あたりの利益が低い商売である。
そのため、1日のスープ量を、1杯あたり30cc多く出し続けてしまったら、チャーシューを1枚多く出し続けてしまったら、麺を10g多く出し続けてしまったら・・・
それだけで原価は数十%膨れ上がり、利益が減ってしまう。たかがチャーシュー1枚かもしれないが、ロスが出ればそれだけ利益が減ってしまうのだ。
入ったばかりのアルバイトなどでは、スープやタレをぞんざいに扱ってしまうこともあるだろう。これは単純に小銭をゴミ箱に捨てているのと同義ということをスタッフ全員がきっちり把握しておかなければならない。
23、物件探し
様々な場所で、さまざまな情報が流れているが、物件は必ず自分の足で見にいく必要がある。
ランチ時の歩いている人は多いか、周りに会社や住宅は多いか、周りにどのような店が揃っているかなど集めなければならない情報はたくさんある。
家賃の安い高いだけではない、高いお金を払ってその場所に出店して果たして儲けることができるのかをしっかりと選考しなければならない。
『いきなりステーキ』の例を挙げれば、怒涛の勢いで出店を進めたいきなりステーキだったが、コロナの影響もあり経営に大打撃を受け、店舗数を急遽減らしていく動きがあった。
こうなった原因の一つとして当時の経営者は、「忙しさのあまり、新店舗の出店はGoogleマップで眺めて適当に決めていたのも失敗の原因だ」と語っています。
このように、どんなに人気があって勢いのあるお店でも、現地を見ずに決めてしまうのは非常に危険ということです。
その土地でしか感じられない独特な空気も一緒に調べにいくことが重要と言えます。
さいごに
以上のように、クックピットではさまざまなラーメンレシピや、開業までの基礎知識、繁盛店のノウハウ集まで幅広いコンテンツを取り扱っております。
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